白昼夢

年の半分も雪の覆われる北海道の夏は短い。
お盆が終わると夏は終わり。と、北海道民は皆口を揃えて言う。

お盆休み最後の日に、海を見に行く事にした。
積丹の岬から見た絶景の景色に感動し何枚も写真を撮った。

帰り道、国道5号線は大渋滞。運転に疲れ睡魔に襲われる。
少し休憩しようと何気なく脇道に入ったら、小さな海水浴場に着いた。
駐車場に車を入れて少し仮眠を...
と思ったが夏の車内は暑くて寝ていられるはずもなく、すっかり汗だくになる。
風にあたろうと思い少しだけあたりを散策することにした。

歩き出してすぐに何か不思議な感覚が芽生えた。
初めて訪れたはずの海水浴場なのに、ずっと昔に訪れたような気がしてならない。

僕がまだ幼い頃に父は脱サラして母と自宅で商売を始めた。

まだ小さな僕ら兄弟を育てる為に一生懸命働く日々。
今思えば家族旅行をした記憶はほとんど無いのだが、
1度だけ家族で全員で海へ連れて来てくれた事があった。

アウトドアに興味のない父が友人から借りてきたテントや寝袋を
仕事用の車に詰め込み、海を目指した。

僕は絵本やテレビの中でしか見たことがない海に行ける事と、
家族全員での旅行がとにかく嬉しくて、朝からとても興奮していた。

海水浴場はとても賑わっていて、僕は母と海の家に行く途中ではぐれてしまった。
「お母さん!お母さん!」とビービー泣いていた僕を父が迎えに来てくれた。

とても懐かしい夏の記憶のような白昼夢。

制作 2015年
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(C) 2018 Keisuke Ikeda
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